さて、この前はどこまで話したんだっけ。
そうだ、「騎士のホール」まで進んでいたんだよね。騎士のホールにある小部屋に入って、槍とか鍵とか、いろいろと探したところまでだったね。
ともかく僕たちはホールの封印を解くことができたんだ。「やったー!」って感じだったな。でもね、まだまだ僕たちの冒険は終わらなかったんだよ。
次はね、「賢者の噴水」っていう場所が待ち受けていたんだ。
あ、その前に。
ね、この写真を見てよ。
これはね、「騎士のホール」を出てから「賢者の噴水」に向かう途中の遺跡を撮ったものなんだ。綺麗だよね。
あまりにも綺麗だから、思わず立ち止まってしまったんだけど、皆に「早くおいで!」って怒られちゃった。そうだよね、僕たちは観光に来たわけじゃ無いんだから。
でもさ、もしも遺跡を探検しに行く機会があったら見ておいて欲しいなあ。本当に素敵な場所だからさ。
でね。
ここが次に待ち受けていた「賢者の噴水」だよ。へへ、ちゃんと写真を撮っておいたんだよ。
ここはね、力よりも頭の回転を試されるみたいなんだ。うーん、そういうのって僕は苦手なんだよなあ。
あ、でもね。武器は身につけておかないと危ないよ。噴水広場に入った瞬間にね、黒い法衣を被ったモンスターが襲ってくるんだ!これにはびっくりしたなあ。なんだか僕は驚いてばかりいるね。
このモンスターをパシャってするのは忘れちゃった。見てのおたのしみだよ。
さっきの写真を見て欲しいんだけどさ、噴水の下に、四体の像が並んでいるのが分かるかな。ここにね、この像が必要としている物を、それぞれ正しい組み合わせで置かないといけないんだって。難しいよね。
「そういえば、さっきのモンスターが勲章とか文書とかを落としていったなあ」って誰かが言い出してさ、それを像の前に置いてみたんだけど、それだけじゃ足りないみたいなんだ。
この部屋も、騎士のホールみたいに小部屋があってね、そこが怪しいかもしれない!って、皆で探してみたんだ。
こんな感じの、お酒くさーい倉庫があってね。少し気になる木箱を叩いてみたり。
埃をかぶった古いテーブルや椅子が置いてある部屋で、イライラしながら壁を登ってみたり。腐った食べ物があったりして、ちょっと閉口したよ。
どうにかこうにか、四体の像が必要としているらしい物をかき集めてみたんだ。こんなものが、そんなに大切なのかなあ。昔の人の考えることって、ちょっと不思議。
そうそう、この像は何だか気難しくてさ。捧げ物を間違った場所に置いたり、欲しい物じゃ無かったりすると怒りだすんだ・・。怒るとどうなるかは秘密だよ。でもね、みんなも気を付けた方がいいと思うな。
でさ。四体の像が、僕たちの捧げ物に納得してくれると。
ほら、石積の壁の一部が壊れて、次の場所へと続く扉が開いたんだ。ここから先、いよいよ僕たちはこの王宮の奥へと進むことになったんだ。
ここまでの僕たちはさ、「次の場所にはいったい何があるんだろう?」って、ただそれだけで進んできたんだよね。
でもね、噴水を抜けて「地下水路」を奥に進むと、この王国の悲しい過去を、ちょっとだけ知ることになったんだ。
地下水路って、なんだか不気味な場所だったよ。光が全く差し込まない、薄暗い場所でさ。でね、そこに古い手紙のようなものが落ちていたんだ。みんなも読んでみるかい?
これだよ。
ね。この手紙はさ、シャレニアン王国最後の王子、シャレン3世の遺言書だったんだ・・・。
シャレン3世は、きっとこの地下水路まで必死で逃げてきたんだろうね。「悪魔のネクロマンサー」が、いったいどんなヤツなのか、僕たちには全く分からなかったけど、悪魔っていうくらいだ。きっと恐ろしい相手に違いないんだ。シャレン3世はどんなに怖かったことだろう。
そう。
ここまで進んできて、僕たちは自分たちの為すべきことがやっと分かったんだよ。この王宮の奥には、悪魔のネクロマンサーがきっといるに違いないんだ。
このままにしておけば、ビクトリアアイランドまで押し寄せてくるかもしれない。平和なペリオンやエリニアを、かつてのシャレニアン王国のように滅亡させるわけにはいかないんだ。そこには僕たちの大切な一族や友達が暮らしているんだから。
「ぼくたちはネクロマンサーをたおすんだ!」
やるべき事が分かった僕たちは、改めて武器や防具を点検したよ。この薄暗い水路の中で、ネクロマンサーとその手下たちが、いつ襲ってくるか分からないからね。
水路を流れる水で、体はびしょ濡れになっちゃたけどさ、そんなことは全く気にならなかったよ。
でもね、ネクロマンサーが潜んでいる場所はここでは無かったんだ。そこに進むまでに、僕たちはもう少しだけ頑張る必要があったんだよ。
そしてその先に、仲間との悲しいお別れが待っているってことを、そのときの僕たちは思ってもみなかったんだ・・・。