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拳との対話 -Maple Story Chronicle- (3)
エ:さぞお忙しかったと思われる、拳さんのゴールデンウィークも終わりましたね(笑)

拳:いやいや。先日は二週に一度の休暇を使いまして、フロリナに行って羽を伸ばしてきましたよ(笑)。珍しくハインズと二人でのんびりしてきたんですが、彼は暑がりなんですよね(笑)。

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エ:拳さんは裸に近い格好をしておられるけど、ハインズさんは法衣を着ていらっしゃるから(笑)。


エ:さて、前回はビクトリア大陸への移住までをお話いただきました。今回は、メイプル島住民の移住後の生活、中でも開拓の歴史を中心にお伺いしたいと思います。

拳:まず移住にあたっては、農民が大量にビクトリアに渡りました。数百人を超える単位であったと記憶しております。なにしろ、数千人に及ぶメイプル島民達の居住地・農地を用意しないとならんのです。これは我々の部族が最も得意とするところです。体力だけなら負けませんからね(笑)。
同時に、耕作が可能になるまでの期間、開拓農民達の当面の食料確保のための狩人集団(弓士族)が、そして徐々にではありますが、都市生活者(盗賊)が移住を始めたわけですね。

エ:この当時から、部族ごとの住み分けは考えられていたのでしょうか。

拳:そうですね。この問題はルークやスタンの長老達を悩ませたようです。当初は、アムホストを遥かに上回る大きな街を一つ造り、そこで共に暮らすことを計画しておったですな。候補地は現在のリス港口でした。海に近く、温暖で気候が非常によろしい。ここを拠点として、後背地に広大な農地と居住地を造る予定だったのです。
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エ:ほう。確かにあの街ならばエリニアとも一定の距離を保っておりますし、互いに無用の接触を避けることができますね。しかも街が一つであれば、開発の負担も少なくすみます。しかし現在、移住後に出来た街は三都市となっていますね。これはどういった経緯があったのでしょうか。

拳:これこそが、今の「四民制」を決定的にすることになるのですが、度重なる話し合いの中で、やはり部族ごとに居住地を分ける必要があるのではないかということになったのですな。

エ:ほほう。それはいったい何故なのでしょう。

拳:部族意識の高まりですね。メイプル島で平和に共存をしておったと言っても、移住直前には部族ごとの特色が徐々に明確になってきておりました。我々農耕民の間でも、鍬や鋤による原始的な戦闘訓練が行われるようになっておりましたですね。「デンデンから農作物を守る」を名目とした訓練ではありましたが、実はそうさせる部族間対立の萌芽があったことも事実です。

エ:すでに拳さん・ダークロードさん、ヘレナさんにも、今の戦士・盗賊・弓士を形作る、特殊な力が与えられていましたね。

拳:そうなんですね。もっとも、同じ部族民へその力を分け与えるまでには至っておりません。それはもっと先の話になります。
ただ少なくとも、「部族意識」というものは明らかに高まっておりましたね。狭い土地に、背景の異なる複数の部族が暮らしていたことも要因なのでしょうな。富める者も貧しい者もおりました。
そういう状況は「自分が何者であるか」という位置づけを必要とさせてしまうものなのですよ。そういう場合「持たざる者」は、往々にして「血脈」というものを揺さぶられるのです。それが彼らにとっての最後の拠りどころになってしまうのですな。それはやがて異質な者に対する過剰な攻撃につながることがあります。
まことに悲しい話ですが、部族意識の高まりによって小さな争いも少なからずおきておりました。

エ:そういった無益な争いを避けるための、「部族ごとの街」であったと。

拳:残念なことに。苦渋の決断ではありましたが、平和に共存していくためには、三部族の居住地を分割し、緩やかな自治制にしようではないかという結論になったわけです。



エ:それが現在の「エリニア」「へネシス」「カニングシティ」「ペリオン」という街の形成につながるわけですね。

拳:そうですね。いずれにせよエリニアは別格でしたよ。これは妖精達、つまりビクトリア原住民の神聖な土地ですからね。侵すべからずです。もっともエリニアは、土木技術を含めて、当時から私たちを遙かに上回る文明を持っておりましたがね(笑)
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思えばあの街は、訪れるたびに私達に大きな刺激を与えてくれたものですよ。都市整備に関心の高かったダークロードなどは、本当に感激しておりました。最初の頃は口をきいてくれなかった妖精達も、少しずつ心を開いてくれるようになりましてね。彼女たちともいろいろありましたなあ。

エ:なんだかずいぶんと遠い目をしていらっしゃる(笑)

拳:若い頃の話ですよ。私にもそういう時代があったのです(苦笑)。
お話を戻しますと(笑)、「神聖なる森林国家」としてのエリニア周辺に我々の鍬を入れるのは一切やめようということになりました。もっとも、そんなことはハインズが許さなかったでしょうけれどね。
魔法族以外にもエリニアフィールドを好む方は今でも多いようですが、やはり「エリニアは特別だ」という想いが、この当時から皆の心にあるのではないですかな。

エ:私もそうです(笑)。もちろん、ペリオンの荒涼とした風景をみると、「ああ、ここが自分の故郷だなあ」とは思いますが。と、一応言っておきます(笑)。

拳:いやいや、私もエリニアは好きですよ(笑)いずれにせよ、あの一帯は神聖なる土地であるという、島民達の暗黙の了解がありましたね。
それ以外の草原地帯、これは今のへネシスからカニングにかけてですな。この一帯を移住民の土地にさせて貰おうということになったわけです。

エ:なるほど。現在のペリオンエリア、これは拳さんを筆頭に戦士達の拠点であるわけですが、ここは入っていないわけですね。

拳:ええ。当時のペリオンはエリニアから続く大森林地帯となっておりまして、ここは居住地とは別の目的に使われました。やがて、ペリオンが我々の居住地になるまでのお話は次回以降にすべきでしょう。ビクトリアの忌まわしい過去を伴った、長いお話になります(苦笑)。



エ:…わかりました。では、再び開拓の歴史について振り返っていただきましょうか。

拳:まずは農地の開墾、そして港の整備ですね。現在のリス港口です。農地の確保は当然のこと、港が出来ないと、大量移住すらままならいわけですね。もちろん移住後も、メイプル島残留組との交易は活発におこなうつもりでしたので、農地整備、そして港の確保がまずは急務でした。

エ:ここに、移住初期の各部族の分布図がございます。
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これをみると、現在のカニングからヘネシスの間を耕作地帯と定めたわけですね。ここに開拓農民(戦士)が入植したと。確かに今でもビクトリア随一の農作物生産地となっていますね。

拳:ここの気候が農業には一番適しておったのですよ。近郊の山脈からの水も豊富でしたね。カニングからヘネシス、そしてエリニアと続く街道出来つつありました。もっとも街道とは言っても、この頃は「けもの道」のようなものでしたが(笑)。それによって各街への流通も容易であったわけです。

エ:拳さんはすでにビクトリアに住んでおられたのですね。

拳:ええそうです。私はダークロード達とカニング建設に携わることも多かったのですが、今でいう「海岸の草原」あたりですかな。我々農民達はそこに小屋を建て、穏やかな暮らしを送っておりましたなあ。今では考えられないほどの貧しい生活でしたがね。けれども、私たちは皆若かった。本当に楽しい日々でした。これはダークロードやヘレナ達の一族も同じことであったと思います。
・・・・いや、いけませんね、今日の私は少々感傷的に過ぎるようです(笑)。

エ:いやいや、追憶とは常にそういうものだと思いますよ(笑)。
さて、今のビクトリアで最も大きな街はカニングです。近代的な建造物が建ち並び、地下鉄も走る巨大都市です。私などは初めて訪れたときは頭がクラクラしました(笑)。全てにおいてアムホストを上回っておりました。

拳:あれはダークロード達が、一族の誇りをかけて造り上げた都市でした。今は少々荒んだ側面も見受けられますがね(苦笑)。まあ、それもカニングが大都市であることの証明ともいえるでしょう。
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エ:あの、少々言いにくいことなのですが・・。

拳:どうぞ。続けてください。

エ:あそこまでの都市を造るためには大量の鉄が必要だったはずです。当然のこと、鉄鉱石を採掘し製鉄をしなければならないと思うのです。拳さんたち農民も、鉄から農具を作らなければならない。弓士達の矢にも鉄は必要です。それらはどこから調達されたのでしょうか。
前回のお話で、ペリオンが今のような姿に変貌したのには理由があることを拳さんは示唆しておられましたが。もしかすると・・。

拳:あなたがご想像のとおりです。地図に描かれておる、エリニアからペリオンにかけての広大な森林地帯は、豊かな自然を育むと同時に、優良な鉱山でもありました。
いまでもペリオンには、サンダーとスミスという精錬技術者がおりますね。
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この二人は当時の鉱山技術者なんですな。彼らは開拓農民の出身、つまり戦士族の血を引く者達です。開拓農民の一部は今のペリオン周辺に移り住み、鉱山開発もおこなっておりました。

エ:製鉄といいますと、高熱による処理が必要なわけで、その当時は大量の木材が必要だったわけですよね。

拳:今のペリオンがあのような姿になったのは、大規模な採掘と製鉄による、破壊的な森林伐採が原因なのです。この一帯の森林は、ハインズの影響下から外れておりましたので、私達は開発の足を踏み入れたのですが・・。
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いささかやり過ぎの感がありました。武具や農具を作るだけであれば、ペリオン周辺の豊かな森林を丸裸にする必要など無かったのですね。
私たちは、カニングの建造物を一つ作るのに、エリニア森林地帯の山を一つ潰しておりました。いずれ、その山も整地してカニング近郊都市にするつもりだったのです。そうそう、「豚と一緒に踊りを」という人物がペリオンにおるでしょう?

エ:ええ、なかなか厳しい注文をつけて家を建てようとされてる(苦笑)

拳:彼は、当時のペリオン居住地化計画の責任者の一人です。今でも彼はそれを諦めていない(苦笑)。
今にして思うと何かに急き立てられておったんですかなあ。愚かなことをしたと思っております。

エ:拳さん達に、そうまでさせたのはいったい何が理由だったのでしょう。

拳:やはり初めてエリニアを訪れたときの衝撃が大きかったのでしょうな。エリニアは樹齢数千年の森に巨大な都市を作り、魔力を与える不思議な薬を作る技術力すら持っていたのです。また、これはずっと後になって知るのですが、飛行船まで研究していた。

エ:空中都市「オルビス」とを結ぶ飛行船ですね。

拳:そうですね。ハインズがその存在を教えてくれたのは、ずっと後のことでしたが(笑)。ともあれ、そのエリニアを見て、「このままでは勝てない」と思いましたなあ。今にして思えば、勝つ必要なんて無かったのですがね。当時はそう考えていたのですな。
スタンやヘレナは「そこまでする必要は無い」と、アムホストと同じ趣きを持つ「ヘネシス」を独自に造り始めておりましたが、私とダークロードはエリニアに劣らない「都市」を造ろうと考えておったのですよ。
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スタンとヘレナの判断は、ある意味正しかったと言えますな。



エ:いずれにせよその頃には、リス港が整備され、ペリオンの豊かな森林を失うという犠牲を伴いつつ、カニングという巨大都市が生まれ、農民達は大きな農業地帯を開拓し、ヘネシスという穏やかな街が誕生していたと。

拳:ビクトリアでの暮らしが安定するまでに、移住を開始してから十数年が経過しておりましたな。
ともあれ、まがりなりにも新しい土地での秩序が生まれたわけです。リス草原地帯では農作物が豊かに実り、ヘネシス周辺では狩りが積極的に行われ、カニングでそれらが消費され、やがてペリオンと呼ばれるようになる土地では、鉱山開発とともに農具などの道具類が製造されている。そういう時代でした。ダイナミックではありつつも、人々の暮らしは落ち着きを得ていたのですよ。
そのバランスは、実は危ういものであったのですがね。
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エ:うーむ。それが崩れたような言い方をされておられますね。次回はそのあたりを中心に伺うことになりそうです。少しだけヒントをいただけますか?

拳:我々農民達が作業着を捨て、鎧を身にまとう時代が、すぐそこまで来ていたのですな。どうやら次回は少々気が重いですな。忌まわしい我々の過去を紐解かなければならないようです。

エ:どうもせっかくのバカンス気分を壊してしまったようですね(苦笑)。

拳:いやいや、お互いさまですよ。もう一つの世界でのあなたも、連休明けの月曜日は相当に苦しかったと聞いておりますよ(笑)。
by fabken | 2006-05-13 01:06 | Chronicle
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